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『世界はうつくしいと』~長田弘さんの詩の世界は疲れた心を癒します

せかいはうつくしいと

こんにちは♪YUME♡miyakoです。

心が疲れた時に読む詩があります。

出会いは中学3年生の国語の教科書でした。初めて読んだ時に、心が浄化されていくのを感じました。その時に、時間をかけて心を込めてノートに直筆で書き写しました。その詩を時々引っ張り出しては音読します。

せかいはうつくしいと  長田弘

うつくしいものの話をしよう。

いつからだろう。ふと気がつくと、

うつくしいということばを、ためらわず

口にすることを、誰もしなくなった。

そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。

うつくしいものをうつくしいと言おう。

風の匂いはうつくしいと、渓谷の

石を伝わっていく流れはうつくしいと。

午後の草に落ちている雲の影はうつくしいと。

遠くの低い山並みの静けさはうつくしいと。

きらめく川辺の光はうつくしいと。

おおきな樹のある街の通りはうつくしいと。

行き交いの、なにげない挨拶はうつくしいと。

花々があって、奥行きのある路地はうつくしいと。

雨の日の、家々の屋根の色はうつくしいと。

太い枝を空いっぱいにひろげる

晩秋の古寺の、大銀杏はうつくしいと。

冬がくるまえの、曇り日の、

南天の、小さな朱い実はうつくしいと。

コムラサキの、実のむらさきはうつくしいと。

過ぎていく季節はうつくしいと。

さらりと老いてゆく人の姿はうつくしいと。

一体、ニュースとよばれる日々の破片が、

わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。

あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。

うつくしいものをうつくしいと言おう。

幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。

シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く。

何ひとつ永遠なんてなく、いつか

すべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと。

この詩は第一連、第二連という区切りを持ちません。また、自由な言葉で表現されています。まさに、詩人、長田弘の世界です。輝く言葉の世界です。

まず、読んだ時に、この詩の字面の美しさに惹かれました。

ひらがなと漢字、カタカナの使い方が絶妙です。漢字で書く部分と、あえてひらがなで書く部分の緩急が、この詩の柔らかさと力強さを表現しています。

そして、”うつくしいもの”は、物だけに限られておらず、”風の匂い””なにげない挨拶””過ぎてゆく季節””老いてゆく人の姿””幼い猫とあそぶ一刻” これらは感じるものです。

また、句読点の打ち方にも、長田弘さんの独特の感性が光っています。なぜ、ここに句読点が打たれているのか?を意識して音読すると、情景が目の前に広がります。

”うつくしいもの”に気づかず、見過ごすようになった人々、そして、気付いても言葉に出さなくなった人々に警鐘を鳴らしています。

ニュースなど意味がなく、その破片を集めても歴史になどならない、私たちの生きる価値は日常の美しさに気づくことにこそある、と教えてくれています。

最後の2行・・・これが全てです。

何ひとつ永遠なんてなく、いつかすべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと。

よく、桜は散る姿が美しいと言いますね。花は枯れるからこそ、懸命に咲く姿に人は心動かされますし、儚さから美を感じます。

私たちも塵にかえります。だからこそ、精一杯生きる姿はうつくしいのです。

今日も、お花に「きれいに咲いてくれてありがとう。うつくしいですね。」と話しかけました。

心が疲れた時、少し辛い時、読んでみてください。

今日はこのへんで(#^.^#) ごきげんよう♬

Picture of 池永 宮代子(みやこ)

池永 宮代子(みやこ)

20年にわたる学習塾の指導・経営の経験から、「生きる力を育む子育て」を応援します。 親と子の夢を育む・・・それがYUME∞IQのコンセプトです。 すべての親子に笑顔を♪

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